【完】魅惑な藍の海の恋心色。
「……可哀想なぐらい、無表情でしょ?」
わたしはアルバムをめくる手を止めた。
無表情……それだ。
アルバムの中の三木くんはどれも、……そう、無表情……。
「笑うことがなければ、泣きもしない……怒りもしない。小学校に上がるまで、ずっと無表情だったのよ、この子。」
あの、三木くんが……?
どうして……。
「似てないでしょ、私たち。」
「……はい。」
「当然よ、血が繋がってないんだもの。」
え……っ?
「かいと……いいえ。うみひとは、姉さんの子なの。」
「うみひとは向こうの父親似らしいから、姉さんと姉妹の私とも、当然私の夫とも、似てないのよ。」