【完】魅惑な藍の海の恋心色。
ゆっくり指で、写真の中の三木くんを撫でる奈緒さん。
「私は……私はっ、あの子の母親なんかじゃないの……。」
言葉が、出ない。
「うみひとは、3歳のときに姉さんに捨てられたっ、姉さんの子なの……っ。」
奈緒さんの目から、ぽろぽろと零れ落ちる涙。
三木くんと奈緒さんが、本当の家族じゃない……?
あんなにもさっき、仲良さげに言い合いをしてた2人が……。
「……うみひとは、かいとの本名。うみひとが中学に入る前に、正式に籍を入れて、三木海人(みき うみひと)。」
みき、うみひと……
「だけどね、先生。あの子の前でこの名前は、決して出しちゃダメ。」
「どうして、ですか……?」