【完】魅惑な藍の海の恋心色。
「うみひとは、姉さんを憎んでる。だから姉さんが名付けたこの名前も、ずっと憎んでるの。」
「そんな……。」
そんなのって……。
「……この頃のうみひとはね、まだ姉さんを待ってた。」
そう言って奈緒さんが指差したのは、あの無表情の三木くんが写る写真。
「毎日毎日家の前で、姉さんが迎えに来るのを待ってたのよ。」
「迎えに来る……?」
「姉さんがそう言って、実家の前にうみひとを置き去りにしたみたいだから……。」
置き去りだなんて
なんて、ひどい……っ。
「旦那さんは……全部知ってるんですか?」
「えぇ……もちろん。うみひとが実家にやって来たとき、夫とはまだ交際中だったのだけれど。うみひとを育てるって聞かない私を見て、夫はすぐ私に結婚を申し込んで来たわ。」
「〝君がその子の母親になるなら、オレはその子の父親になる〟って……。」