【完】魅惑な藍の海の恋心色。
当時のことを思い出しているのか、奈緒さんの表情は柔らかい。
「いい、旦那さんですね。」
「……ありがとう。」
アルバムをめくった。
写っているのは、前ページとは真逆の表情をしている三木くんの笑顔。
「急な結婚でお金も無かったから、結婚してからもずっと、私の実家に一緒に住んでたのだけれど。
うみひとの心の整理のためにも、1度実家を離れようってことになって。
うみひとが小学校に入る前に、この家に引っ越して来たの。」
三木くんの隣で、同じように笑っているのは、きっと……。
「この子……笠岡雄大くんって言うんだけどね。この子が小学校で、うみひとを泣かしたの。」
「え!? な、泣かっ!?」