【完】魅惑な藍の海の恋心色。
子供のときとは違う。
わたしよりもずっと大きくて、頼もしい背中。
肩を掴めば、その分厚さに驚いた。
「智樹……男の人みたい。」
「いや、そのつもりなんだけど。」
わたしを背負うので精一杯だった智樹が、今じゃ軽々とわたしを背負い、歩くんだもん。
なんだか、悔しい。
「昔はわたしより小さかったくせに……。」
「うるせー。」
智樹はつーんと口を尖らせた。
ふふ、かわいー、智樹。
「…………いつまでも小さいままじゃ、おまえを守れねえだろ……。」
え?
「今何か言った? 智樹。」
「べっつに。」
「??」