【完】魅惑な藍の海の恋心色。
変なところで優しいんだから……智樹は……。
「本人に聞くって、どういうことよ、智樹。」
「だから、要するに、三木と東先生が血の繋がった親子ってことだろ? 本人たちに言って、それでも一緒にいたいか聞けばいいんだ。」
三木くんに……。
「あんたっ、バカじゃないの!? ていうか、本物のバカ! いきなりそんなこと藍が言って、2人が信じると思う!?」
「そこは何とか説得してだな……。」
「説得とか以前に、藍は本当のことを教えることで、2人が傷付くと思ってるから悩んでるのよ。」
里佳子ちゃんの言うとおりだ……。
わたしはこの期に及んで、まだ悩んでる。
このままじゃダメ、そう思ってても
本当のことを教えることで、誰かが傷つくなら……
いっそのこと、誰も何も知らないまま、2人を別れさせてあげたい。
「藍、あんたは優しすぎるのよ……。」
違う……ちがうよ、里佳子ちゃん。
わたしは、優しくなんかない。
性格の悪い、意地汚い女だよ。
だって
2人が結ばれない立場なのを、密かに喜んでいる自分がいるんだ。