【完】魅惑な藍の海の恋心色。
「はい、これ、鞄。」
「あ、ありがとう。わざわざごめんね。」
特別な理由があるわけでもなく、
あるとしたら、一昨日三木くん家に置いて来てしまった鞄を、受け取るため。
一昨日結局、わたしは里佳子ちゃん家に泊まった。
智樹は途中で帰ったから、久々に2人でガールズトークなんかして。
昨日の昼には、里佳子ちゃんに電車代だけ借りて家に帰った。
一昨日は慌てて飛び出したので、鞄も何も、三木くん家に置きっぱなしだったから。
幸い、携帯だけはポケットに入ってたんだけど。
あとから取りに行く勇気も、わたしには無くて……。
だからこうして今、三木くんの手から、ようやく鞄が戻って来たってわけ。
「いいよ、気にしないで。それよりせんせい、何で一昨日、急に帰ったりしたの?」
「え……と……。」
「いや、言いたくないなら別にいいんだけど…………母さんが、心配してたから……。」