【完】魅惑な藍の海の恋心色。
そうだ、わたし……。
ただでさえ怒られる立場なのに、何も言わず急に帰るなんて失礼な真似して……。
「お、怒ってた……?」
「え?」
「……奈緒さん。」
わたしのバカっ、バカ……!
ほんと、何やってるんだろ……。
だけど、あんなこと知っちゃったら誰だって……。
「……ふふ、大丈夫だよ、せんせー。母さんはそんなことで怒る人じゃないから。」
三木くんの大きな手が、わたしの頬に触れる。
引き寄せられては、当たり前のように、わたしと三木くんの唇が重なった。
「怒られると思って、ビクビクしてるせんせ、かわいー。」
「っ……からかわないで。」
何度も何度も、唇は重なる。
まるで唇自体に、そう意思があるように。