【完】魅惑な藍の海の恋心色。
side 三木海人
「ふは……かわい。寝ちゃった、せんせい。」
優しい手付きだけを心掛けて、何度も何度もせんせいの頭を撫でる。
時には髪をすべるように
時には頭を包むように
「……何か、悲しいことでもあったの? ……せんせー。」
なんで、せんせいは泣いたんだろ。
オレを見ては、あんなにも崩れそうに。
ねぇ、せんせ
何を知って、何に苦しむの?
きっとせんせいは一昨日、母さんから〝何か〟を聞いてしまったんだと思う。
季緒と会っていたオレは、当然その内容を知らない……。
「分からないけど……多分、オレのせいなんだろうな。せんせーは、無駄に優しいから……。」
眠るその額に、ソッと唇を寄せた。