【完】魅惑な藍の海の恋心色。
彼との結婚は、子供が生まれてからと2人で話し合って決めていた。
最後の最後まで、奈緒はアタシを引き止めようとしてたけど。
海人を想うと、別に好きじゃない人との結婚なんて、どうでもよかった。
この子が生きるために必要なら
この子が幸せに生きるためなら
……そう、本気で思ってたんだ。
彼が死ぬ、あの日まで。
救急車やパトカー、車のクラクション
周りの野次馬たちの声
全てがまるで、幻聴みたいだった。
きっとアタシは……少なからずともほんの少しは、彼を愛してたんだと思う。
ただこれまで男にも恋心にも適当だったアタシは、どうしても、その気持ちに気付くのが遅れて……。
車の事故で彼が死んだあの日に
アタシの中の時間は、どこか止まっている。
「まるで、針の動かない時計ね……。」
アタシは壊れてしまってる。
もう、直せないぐらいに。