【完】魅惑な藍の海の恋心色。





3月10日


今日は三菱高等学校3年生の卒業式。



――そう。


三木くんの制服姿も、今日が最後。



「ちぇー。せっかく最後の日ぐらい、一緒に登校しようと思ったのに。」


「ごめんね……。」



本当に悪気は無かった。



ただ今日、というか最近は、卒業式の準備で保険医のわたしまでもがバタバタと忙しくて。


言い訳にしかならないけど、三木くんとの約束は、どうも頭から抜け落ちてしまっていた。



「……ま、いいよ。どうせこれからは一緒だし。」



妖艶に、にやっと微笑む三木くん。


この9ヵ月で、三木くんは随分と表情豊かになった気がする。


それも、何かと悪い顔の方が多い。



「帰りは一緒だから!」


「ふふ……当たり前。藍が終わるの待ってる。」



元々、サボり魔にしては、有り得ないぐらい頭がよかった三木くんは、特に誰から何を言われることなく


近くの頭のいい大学を受験し、見事合格した。





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