【完】魅惑な藍の海の恋心色。





恋はそれなりに、たくさんした方だと思う。


……だけど

今思えばどれも薄く浅い恋で、恋と呼べるほどの想いでもなかった。



「わたし、三木くんが好きなのかなぁ……?」



こんなにも、モヤモヤするのは初めて。


こんなにも、恋で頭がいっぱいになるのも……。



「はじめてで、わかんないよ……。」



三木くんが、はじめて……。



「うぅぅ〜〜……。」


「…………。」



わたしが変な唸り声を上げる隣で、里佳子ちゃんは最後のようかんを食べ終えた。



「藍。」


「んう……?」



「ごちそうさま。」と言って、立ち上がった里佳子ちゃんは帰るつもりなのか。


ハンガーに掛けておいた上着を着始める。



本当は引き止めたいけど……。


里佳子ちゃんの仕事がどれだけ大変なことなのか、わたしは充分に知ってるから。





< 43 / 263 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop