【完】魅惑な藍の海の恋心色。
「お、起きてください、名前……名前、用紙に書いてくださいっ。」
もしくは教えてください、わたしが書きますから。
触れることにさえ躊躇したが、この場合は仕方ない。
彼の肩におそるおそる手を添えて、そのまま彼の体を揺らした。
「起きて〜……。」
「んん……すー……すー……。」
だけどなかなか起きない。
どうやら熟睡してるらしい。
「っ、起きてよー。書かないとダメなのーっ。」
出勤早々の失敗は、もうさっきので充分。
これからの失敗は、できるだけ減らしたいのが本音。
……そんなわたしの思いが通じたのか。
眠っていた彼のまぶたが、パチッと開いた。
「あ、お、おはよう……?」
まだ少し寝ぼけてそうな、彼の顔。
周りをキョロキョロとしたあと、わたしの顔をジーッと見てくる。