大空へ飛び立つ。
伝わらない


私が今、恋をしている相手__
それは、一緒に暮らしてるあなた…
そう、今、目の前にいるあなたなの。

初めて会ったとき、あなたの綺麗なひとみに恋をしたわ。
世にいう、一目惚れってやつね。


「さち、お腹減ったよね?ご飯にしようか。」
にっこり笑ったあなたは、相変わらず格好いいわ。
美味しそうなご飯を持ってきてくれるところもね。

「………」
でも、私はあなたに『ありがとう』と、
伝える事ができないから、真っ直ぐにあなたのひとみを見つめて、
心の中で何度も何度も『ありがとう』って言うの。


「さち、美味しい?」
ええ、とっても美味しいわ。美味しい。
あなたと一緒に食べるご飯が美味しくないわけないわ。
でも、あなたが食べてるご飯と同じものも食べてみたいの。
だって、いつも私とあなたのご飯、違うじゃない。


ごちそうさま。美味しかったわ。
あなたも丁度、食べ終わったところ?
なんだか同じ時に食べ終わっただけで嬉しいわね。
これも、あなたに恋してるせいなのかしら。

「ごちそうさまでした。さちも食べ終わった?」
真っ直ぐに目を見つめて、気持ちが伝わることを願う。
「じゃあ、お皿下げるね。」


ありがとう。ありがとう。ねぇ、伝わってる?
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