片道切符。
1月15日



「…一応、いるよ。」

それは偶然、彼女の後ろを通り過ぎようとしたとき、耳にした言葉。

いや、その言葉だけが、耳に入ってきたといったほうが正しいのかもしれない。


「えーまじでまじで!」

「前に言ってたサークルの先輩??」

「写メ見せてもらったことあるけど、超かっこよかった!」

「まじー?私も見たい!見せてよ~」


彼女の”カレシいる”発言に、群がる女ども。

わかるよ、…わかる。

だって彼女、かわいいから。

僕の個人的な気持ちを抜きにしたって、彼女はかわいい。

そんな彼女のカレシなら、僕だって見てみたい。


でも、彼女が他のオトコといるところを見たら

僕はもう、立ち直れなくなるかもしれない。


彼女の背中を見送ったあの日から

僕は一歩だって前に進めていないんだ。


彼女の夢を応援するって決めたのは僕だ。

だから僕は、ここからエールを送るよ。


僕には君の背中を追いかけることはできないから、

いつの日か君が、夢を叶えるそのときまで。

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