片道切符。
蝉が、鳴く
「今日、飲み行かね?」
「…は?」
「生ビールぅ~!いぇ~い!」
作業中の俺の後ろを通りすがりに、ふざけたノリで誘う佐倉さん。
暑さに負けて、少し頭がイッちゃってるんじゃないか…。
そんな佐倉さんを見て、「おお、いいなぁ」なんて周りの先輩方も盛り上がる。
「早く一杯やりたいもんだね~」
同じ作業中の50代の先輩に言われ、「そうっすね」と返事する。
ミンミン、ジージーと蝉が鳴き、じりじりとした日差しが照り付ける。
ヘルメットを被った頭は汗でぐしょぐしょだし、シャツにも汗染みが広がる。
こんなカラカラな身体に生ビールなんて、そうとう美味いに決まってる。
「温泉もいいねぇ」
現場で一番の長老のその発言により、仕事後俺たち作業員は
みんなで仲良く現場近くの温泉に入りに行った。
お風呂のあとの生ビール一杯は、最高に美味かった。
休憩所でまだまだ盛り上がりそうな先輩たちに一言告げてから、
俺と佐倉さんは近くの居酒屋に移動した。
「改めて、かんぱーい☆」
相変わらずノリが良くてご機嫌な佐倉さん。
これは風呂上りの生ビール一杯で酔ったと見た。