片道切符。
「ま、オンナ作れとは言ってるけど、そこのヨリ戻せとは言わないけどな。
あんまりオススメできるようなオンナじゃないみたいな話聞いたから。」
「戻す気なんて、微塵もないですよ。」
「だったらさ、早く次に行こうよ」
「次?ですか?」
「そうそう。俺さ、その話聞いたとき、成嶋は別に
オンナが苦手なわけじゃないんだ!って少しうれしかったわけよ」
「…なんなんですか、その偏見みたいなの。」
酒がまわってきてるせいか、いつもよりも饒舌で失礼な佐倉さん。
土足でずけずけと俺のプライベートな部分に入って来る。
「いないの? 次にいけそうな子。」
「いけそうってなんですか。いないですよ。」
「ひとりくらいいるだろ?」
「だからいませんって。大体この業種、出会いがないじゃないですか。」
「…事務にオンナの子いるだろ。」
「……それ、オンナの子って言います?」
事務のおばちゃんを思い浮かべて、思わず苦笑した。
「…ないか、おばちゃんはないか。そうだよな…。
あ、でもさ、カリナちゃん、交友関係派手だったらしいじゃん」
「まあ…、顔は広いですね」
「別れてヨリ戻す気なくてもさ、連絡取って、そこから新しい出会いとかは…」