片道切符。
…来てなければいいと、思った。
今朝は会えるかもしれないと、淡い期待を抱いたくせに。
それでもこうしてレストランに来てしまったところ、
心のどこか奥深くでは、一目見れたらって気持ちがあるんだろう。
俺も大概、あのバカ男たち5人となんら変わりない。
案内されたテーブル席から、立食パーティーが行われているほうを覗き見る。
「あれ、あそこにいるの佐藤じゃね?」
仲間のひとりが、ある女子を見つけ声をあげる。
「ほんとだ。そういえば佐藤って女子高いったんだっけ?」
「いつの間に俺らの同窓会抜け出したんだよ~」
佐藤と呼ばれた女子は、どうやら俺らと同じ中学出身らしい。
俺は同じクラスになったことがなかったから、いまいちピンと来なかったけど。
「あれじゃね、佐藤に頼んでみればいいんじゃね?」
「は?」
「会費払うから、僕たちも混ぜてって。」
「おーいいねぇ!」
「…おい、まじかよ。」
コイツらといると、突拍子もないことを言い出すから、つかれる。
「へーき、へーき。俺、佐藤と仲良かったから。」
…そういう問題じゃないと思うけどな。