片道切符。


…来てなければいいと、思った。

今朝は会えるかもしれないと、淡い期待を抱いたくせに。


それでもこうしてレストランに来てしまったところ、

心のどこか奥深くでは、一目見れたらって気持ちがあるんだろう。


俺も大概、あのバカ男たち5人となんら変わりない。


案内されたテーブル席から、立食パーティーが行われているほうを覗き見る。

「あれ、あそこにいるの佐藤じゃね?」

仲間のひとりが、ある女子を見つけ声をあげる。

「ほんとだ。そういえば佐藤って女子高いったんだっけ?」

「いつの間に俺らの同窓会抜け出したんだよ~」

佐藤と呼ばれた女子は、どうやら俺らと同じ中学出身らしい。

俺は同じクラスになったことがなかったから、いまいちピンと来なかったけど。


「あれじゃね、佐藤に頼んでみればいいんじゃね?」

「は?」

「会費払うから、僕たちも混ぜてって。」

「おーいいねぇ!」

「…おい、まじかよ。」

コイツらといると、突拍子もないことを言い出すから、つかれる。

「へーき、へーき。俺、佐藤と仲良かったから。」

…そういう問題じゃないと思うけどな。

< 28 / 64 >

この作品をシェア

pagetop