片道切符。


いざ、佐藤に聞いてみれば「男の子いたほうが盛り上がるかも」という

おそらく佐藤とその周辺の浮ついた女子たちの独断で

俺たちバカ男6人の立食パーティーへの参加が認められた。


「彼氏連れてきてる人もいるから大丈夫だよ、成嶋くん」

「はは…ならいいんだけどね。」

なぜかバカ男たちによって俺の自己紹介も済まされ、

見ず知らずの女子に名前を呼ばれ励まされてる気分の乗らない俺。


「なにか取ってこようか?」

「ん? ああ、大丈夫だよ。自分で取ってくる」

笑顔を携えて答えたものの、ほっといてほしいというのが本音だった。

だってあのバカ男たちときたら…まるで合コンに来たみたいに女子に絡むわ、絡むわ…

あーあ、気が付かなかった俺がまぬけだったな。

ヤツらは単に”女子高”に興味を示したわけじゃなくて、

女子がいっぱいいることに興味を示したんだ。


食べたくもないパスタを皿に持っていると、ふと、懐かしい声が聞こえたような気がした。

はっとして声の元をたどると・・・いた。


テーブルを囲んでグラス片手に女友達と談笑する彼女がいた。

あの日、別れてから約2年ぶりに見る彼女。

艶のある綺麗な黒髪は、ピンクブラウンになり、化粧もしてる。

今どきの大学生って感じの雰囲気を纏った彼女だけど、可愛い笑顔はだけはちっとも変わらない。

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