片道切符。
駐車場の端っこで、胡座をかいて座っていると、「よっ」と背中を叩かれた。
「おつかれー」
そう言いながら隣に、俺と同じように座り込む人物。
「佐倉さん、おつかれさまっす」
佐倉さんは5つ年上の先輩で、俺が新入りのときからよく面倒を見てくれる。
「つーか、成嶋、これ見ろよ」
そう言って佐倉さんが、わりと整った顔を気持ち悪くニヤつかせながら見せてきた携帯電話の画面。
そこには満面の笑みでカメラに向かってダブルピースを掲げる幼女の写メ。
「…安定の親バカっすね」
「うっせーな。お前はほんと冷たいの。嘘でも可愛いっすね~くらい言えよ」
「可愛いっすね」
「俺に言われたからって、思ってねえこと言うな」
「いや、思ってますよ!可愛いっていうのは、ほんとに。」
「うそくせーけど、ま、いいか。」