片道切符。
バツが悪くなって再び背を向けると、「ねえ」と彼女が俺を呼ぶ。
「一緒に寝ようよ。」
「は…?」
俺と一緒に寝るとか、本気で言ってんのか?
さすがにもう、アルコールも抜けただろ。
酔った勢いで彼女を抱いてしまった。
俺にも冷静さが戻ってきた。
さっきまでの情事は酔っていたからだ。
酔って正体なくしてた。じゃなきゃ説明がつかない。
シラフでこんなこと、できやしない。
「アフターケアくらい、してよ。」
そう言う彼女はタオルケットを広げ、俺を同じベッドに迎え入れようする。
その表情が淋しげに見えて、腰を上げ、彼女のもとへ向いてしまう。
なかったことにはできない。
やさしくできなかったことも、否定できない。
してしまったけど、酔っていたけど、
そのときの欲を満たす気持ちだけしかなかったわけじゃない。
単純な衝動だけじゃなかった。
思うように抱いて終わりだなんて、そんな風にしたくない。
それ目的のオスとは違って、彼女を思いやれる気持ちが、俺にはある。
あるんだって、わかってほしい。
俺はそっと身体を、彼女の隣にすべり込ませた。