片道切符。
「だって愛実ちゃん、成嶋に彼女いるかって俺に聞いてきたから、
お前には悪いと思ったけど、どうせお前からじゃ何も聞けないだろうし。
てか聞かせてもらったことないし、愛実ちゃんに探り入れたわけ。」
「…何を聞いたんですか?」
「高校の時のカワイイお話全部♪」
…嫌な人だ、ニコッとうさんくさい笑顔を浮かべながら俺を見てくる。
「なんですか、変わったコトしてましたか?」
「いーや、お前も普通の恋愛してたんだなって思って♪」
「今の俺が普通じゃないみたいな言い方しないでください」
「あれ、成嶋君って俺みたいな人がタイプなんだよね?」
「ぶっとばしますよ。つーか、声、デカいです。」
こんな公衆の面前で変な話をするな、そう意味合い込めて睨めば、
佐倉さんはへらっと笑って「冗談」と言う。