公園であいましょう
  
  (よかった、、、、詮索されなくて、よかった)
 

 田辺さんは見た目、30代にしか見えないのに、
 すでに結婚されてるむすめさんがいるくらいの年齢のせいか
 人間関係の機微に聡い。
 
 私とは、真逆だ。
 
 職場こそ、村瀬館長他、私と田辺さんだけという小ささで
 人間関係といっても大したことないが
 公民館というところは、結構いろんな 人の出入りがある。

 
 ダンスサークル、朗読の会、囲碁の集い、、、
 いろいろなグループの、いろいろな人たちが公民館を利用する。
 
 その人たちのほんの1時間か2時間を、
 ここで私達は目にするだけなのだが。


   
   「デコパージュの会の南川さんと、山路さん
    あれは相当ライバルとしてはりあってる。」

   「ダンスサークルの講師の先生と、生徒の原さん
    何か怪しいのよね〜。」

   「囲碁の会の井口のおじいちゃん、
    朗読の会の峰さんにぞっこんみたいよ。素敵!」


 
 田辺さんのスルドイ観察眼は、公民館利用者のプライベートなど
 すべてお見通しなのだ。

  
  (そんな田辺さんが期待するようなこと、私にはなにもありませんって)

 
 そう心の中でつぶやきながら、まだちょっと熱い頬に、私は手をあてた。
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