公園であいましょう
(29)
その日の仕事帰り、私と田辺さんは居酒屋に立ち寄った。
こんなこと、初めてだ。
チェーン店の居酒屋は仕事帰りの人であふれていて、賑わしい。
その場の雰囲気にのまれて、立ちつくしていた私の袖を
くいっ、くいっと引っ張って、田辺さんが個室のひとつに
案内してくれた。
席につくなり、田辺さんは
「でっ、何の話?」
と聞いてきた。
「やっ、ちょ、まず、注文を、、、。」
まだ、本当のところ、決心のつかない私は、
そう言って時間かせぎをする。
「まあ そうね。」
あっさり、田辺さんは頷いてくれて、
二人で、飲み物や食べ物を注文した。
注文し終わっても、まだ、メニュー表をひっくりかえしている
田辺さんをちらりと見て、私は心の中でつぶやいた。
友人の話しなんですけど、、って言ってみよう、
あくまで、私は第三者ということで。
注文した品物はすぐにそろった。
「まずは、乾杯ね。」
そう田辺さんが言って、ふたりでジョッキを
カチンとぶつける。