公園であいましょう
(31)
あれから毎日、私は佐倉くんのマンションを訪ねた。
いつ帰ってくるか、わからなかったから。
帰ってきたら、すぐ逢えるように。
そして2週間が過ぎたとき、その日訪れたマンションの部屋の前で
私は、ドアが少しだけ開いているのに気づいた。
(帰ってきてる?)
私は、ドアをそっと開け、中に入った。
リビングに人の気配がする。
そっと廊下をぬけ、リビングをのぞくと
足にギプスをはめた佐倉くんが、ソファの前にたっているのが見えた。
(佐倉くん、、、)
うれしすぎて、声がでない。かわりに涙があふれてきた。
カタンとなったリビングの引き戸の音に、佐倉くんがこちらを見る。
「委員長、、、。」
佐倉くんは驚いた様子で、目を見開いたまま立ちつくしている。
一歩、佐倉くんに近づこうとしたとき、
「翔太、このシャツと下着どこにしまえばいいんだっけ?」
と声がして、奥の寝室から女の人が姿をあらわした。
佐倉くんに近づこうとした足はピタリと止まった。
そして、女の人の手にある、佐倉くんの下着をみたとき、
ここに居てはいけない気がした。
私は、ぱっと踵を返すと、部屋をとびだした。