公園であいましょう
(4)
あれから、村瀬館長の視線を気にしながらも、
何回か職場をぬけだして、あの公園にいったけど
もう佐倉くんと出逢うことはなかった。
また逢えるかも、、、と期待してドキドキしていた気持ちは、
だんだんと落ち着いていき、
私は何の変化もない、私の日常を取り戻していた。
所詮、私の日常などこの程度のものなのだ。
久しぶりに出逢った同級生が、イケメンになっていた、、、
そうしたところで、私の日常に何か変化があるわけではない。
ここ何回かは、ゆったりと息抜きをするというより
ベンチに座っていても、佐倉くんのことで頭がいっぱいだったけれど、
さすがに今日はそんなこともなく、久しぶりに全身の力をぬいてベンチに深くもたれる。
目をつぶってみると、この場の空気がいかにゆったりと動いているかがわかる。
変わりない日常を取り戻して、ほっとしている自分もいたりして。
私はひとりきりの時間を満喫し、ぱっちりと目をあけると
立ち上がりベンチをあとにした。
公園をでて右にまがり、ゆるい坂道を登り始めようとしたところで
ぐっと後ろから誰かに腕をひかれた。
「きゃっ。」
バランスをくずして後ろに上半身がたおれると
パタリと温もりをもった何かに受けとめられる。
「よかった、間に合った。」
男の人の声が、頭の上からふってきた。