公園であいましょう
(32)
 
   「一ヶ月後ぐらいの公民館が休みの日、
    その日にでかけて、一泊してこよう。
    だから、次の日に休みを取ってくれる?」



 そう、佐倉くんに言われて、ドキンとした。

 佐倉くんのケガは、すっかり良くなったけど、その後
 休んだ分の仕事が忙しくて。

 私のはじめては、全然はじまってもいない。

 でも、、、


  (二人で出掛けて、それでお泊まりってことは、、、)

 
 考えたら、頬が熱くなった。
 私は、佐倉くんの顔が見れなくなって、俯いてしまう。

 ふっと佐倉くんが笑った気がして、佐倉くんがどんな顔をしているか
 気になってしかたがない。



   「郁、いいかな?」



 俯いた私の顔を覗き込むようにして、やさしい声で言うから
 我慢できなくなって、ちらりと佐倉くんの顔を見た。



   「いい?」



 再び訊ねられて、こくんと頷く。

 そしたら、唇に甘いキスが落ちてきた。

 啄むように触れていたくちづけは、だんだん深くなって
 私をとろけさせるようなものにかわる。

 体の奥が熱くなって、はぁーと大きく息を吐き出したいのに、
 佐倉くんのくちびるに塞がれて、侭ならない。

 それでも離れない唇をうけとめていると、頭のしんがジンと
 しびれてきて、体の力が、かくんとぬけた。

 そうしてやっと離れた唇をさみしいなと思う気持ちと、
 やっと、息がうまく吸える安堵感にゆれながら、
 私は、佐倉くんを見上げる事ができた。
< 112 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop