公園であいましょう

 公民館の仕事上の予定も入ってくるから、今日か明日には
 届け出をださねばならない。

 仕事が終わる時間ぎりぎりまで、あーでもないこーでもない
 と考えて、親戚のだれかに犠牲になってもらうことにした。

 意を決して、村瀬館長の前まで歩く。



   「あのー、館長。」



 見ていたパソコンの画面から目を離して、ジロリと館長が
 こちらを見た。



   「有給をとらせて頂きたいのですが、、、。」

   「何でだね?」

   「あー、あの、親戚で不幸がありまして、、、。」

   「ふむ。」

   「それで、、一日、、お休みを、、、。」



 頂きたいです、とは言えずに俯く私。



   「.....................。」



 館長は無言でジロリと私を見る。

 な、なんなんだろう、、この間は?


 しばらく沈黙した館長は、目線をパソコンに戻すと



   「申請用紙を提出しといて。」



 とそっけなく言った。

 やった!



   「ありがとうございます。」


 そう言った次の日には、もう田辺さんに嘘の休みがばれた。
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