公園であいましょう
(34)

 出逢ってすぐ抱きしめられて、甘いキスを落とされるから
 私の息はすぐにあがってしまう。

 背後で玄関のドアがガチャリとしまった。

 まだここは、玄関なのに、、、、

 誰かが、ドアをあけやしないかと、ひやひやしてしまう。



   「郁が、足りなかった。」



 そんな事を言って、私をやさしい顔で見るから
 私の顔はきっと、まっ赤だ。


 相沢さんとびっくりの出逢いをしてから、またしばらくは
 佐倉くんとは逢えなくて、今日は久しぶりの二人の時間だった



   「旅行のパンフレット、見ていってよ。」

   「川があって、緑があって、素敵な所だね。」

   「プライベートコテージなんだって。隠れ宿みたいなところだから
    人目を気にせずにゆっくりできるよ。」

   「うん。」



 あっという間に日にちは過ぎて、旅行はもう来週だ。

 
 うれしさと、恥ずかしさと、ちょっぴり恐さと、、、
 いろんな気持ちがまぜこぜになった心の片隅に
 コチンっと固まった気持ちがある。

 相沢さんのことだ。

 
< 122 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop