公園であいましょう

 あれからどうなったのか、、、、
 佐倉くんはなにも言わない。


  (佐倉くんのことは信じてる。だからきっと何もないんだ)

 そう思っても、ちゃんと言葉にしてほしい。
 でも、それを伝えようと思うと

 うまく言えない気がして、私の唇はきゅっと結ばれたままだ。

 

 あっという間に時間がきて、私は佐倉くんの部屋をでる。



   「駅に、9時05分だから、、、。」


 
 最後にドアが閉まる前、佐倉くんがそう言った。



 後から私は、”駅に9時05分だから”と言った佐倉くんの声と
 笑顔を何回も思い出すことになる

 なぜならその日の朝、9時05分を10分すぎても、30分すぎても
 佐倉くんはあらわれなかったから、、、。


 足下に置いた旅行カバンを見つめて、私はもう一度
 駅の壁に掛けられた丸い大きな時計を見る。

 もう、40分が過ぎた。

 携帯で連絡をいれてみても、つながらない。

 これはもう、佐倉くんのマンションまで行ってみようと
 カバンを持ち上げたところで、携帯がメールの着信を知らせた。


  (佐倉くんからだ)

< 123 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop