公園であいましょう
あれからどうなったのか、、、、
佐倉くんはなにも言わない。
(佐倉くんのことは信じてる。だからきっと何もないんだ)
そう思っても、ちゃんと言葉にしてほしい。
でも、それを伝えようと思うと
うまく言えない気がして、私の唇はきゅっと結ばれたままだ。
あっという間に時間がきて、私は佐倉くんの部屋をでる。
「駅に、9時05分だから、、、。」
最後にドアが閉まる前、佐倉くんがそう言った。
後から私は、”駅に9時05分だから”と言った佐倉くんの声と
笑顔を何回も思い出すことになる
なぜならその日の朝、9時05分を10分すぎても、30分すぎても
佐倉くんはあらわれなかったから、、、。
足下に置いた旅行カバンを見つめて、私はもう一度
駅の壁に掛けられた丸い大きな時計を見る。
もう、40分が過ぎた。
携帯で連絡をいれてみても、つながらない。
これはもう、佐倉くんのマンションまで行ってみようと
カバンを持ち上げたところで、携帯がメールの着信を知らせた。
(佐倉くんからだ)