公園であいましょう

 どきどきしながら、メールを読む。

 どうしてもはずせない用事ができたから、後から追いかける、
 先にコテージに向かってほしい、、、
 と書かれていた。

 必ず行くから、、、

 そうかかれた文をそっと指でなぞる。

 私は、顔を上げて時刻表をたしかめると
 当初の時間より、1時間も遅れて電車に乗り込んだ。


 そのときはまだ、佐倉くんは来ると、そう思っていた。

 コテージについて、荷物を置いたときも、時間ばかりが過ぎていって
 あたりが暗くなっても、
 結局、ひとりコテージの部屋で夕食をすませた時も



   「ごめん、遅くなった。」



 そう言って、佐倉くんがドアを開けて、姿をあらわすのだと
 そう思っていた。

 待ちくたびれて、ソファにもたれて眠ってしまって
 カーテンの隙間から射し込むひかりで、目をさましたとき
 つかの間、自分がどこにいるのか解らなくて、ぼんやりしてしまった

 はっと気づき、コテージの部屋のドアをあけて佐倉くんをさがす。


  (居ない、、、)

 
 ソファのところに戻って、部屋の隅にポツンとひとつだけ
 おかれた旅行カバンを見て、
 ”独りなんだ”と、解りきっている事を確認する

 それでもまだ、なんとかしたくて。

 
 何回目になるかわからない電話を佐倉くんのスマホにかけたけど
 つながることはなかった。

 

 ため息をひとつ落とし、私は帰り仕度をはじめた。

 
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