公園であいましょう

 俯いて仕事をしていた図書室のカウンターに、人影がさして
 つっと顔をあげると、にこやかに微笑む相沢さんがいた。



   「ごきげんよう、桂木さん。」



 そう上品に挨拶されたが、私は驚きで固まっていて何も言えない。



   「どんなところで働いてみえるのか、見ておきたくなって
    やってきましたの。」



 そう言って、あちこち見回している。



   「古くて、地味なところ、、あなたにお似合いな
    職場ですわね。桂木さん。」



 そう言って、彼女はクスっと笑った。



   「何の御用でしょうか?」
   
   「だから今、言いましたでしょ。」

   「....................。」


   「なんだか、高校時代を思い出しますわ。
    あなた、そうやっていつも図書室のカウンターの中で
    下を向いてらしたでしょ、ひとりで。」

   「本が好きなので。」

   「そうそう、人と交わるより本をよんでいた方がいい、
    桂木さんってそういう感じ。」


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