公園であいましょう
そう言って、彼女はひとしきり笑った後、今度は
声のトーンを落として
「へんに人とつきあっって悲しい思いをするより
その方がいいですわ。ねえ。」
と言い、かわいらしく小首を傾げてみせた。
その仕草はとてもかわいいのに、言ってる言葉には毒が混じっている。
「そうそう、おつきあいといえば、
佐倉くんとは、最近お逢いになった?」
さもついでのような言い方だが、本当に聞きたかった事は
このことだろう。
私は、膝の上で拳をぎゅっとにぎると
「いいえ、逢っていません。」
と、答えた。
「まぁ、どうなさったの?親しくしていらっしゃったのでしょう?」
「連絡がとれなくなったので。」
どう答えようかまよったが、私は結局、正直に答えた。
瞬間、彼女の顔に喜色がうかぶ。
”まぁ” そう言って隠した口元がニヤリとあがるのが見えた。
それから、一言、二言話して、彼女は図書室から出て行った。