公園であいましょう
ほっと息を吐いたら、いっきに力がぬけて、私は椅子に
深くもたれた。
彼女は私をやり込めたかったのだろうが、
反対に私は、あの記事は嘘だと確信していた。
(あの佐倉くんが、この相沢さんとつきあうはずがない)
それでも、佐倉くんと逢えないという現実を突きつけられたのは
間違いなくて、私は心の中でさけぶ。
(逢いたい、せめて連絡してほしい!)
駅で受け取ったメールを最後に佐倉くんとは
一切、連絡がとれなくなっている。
郁がたりない、そう言った時のやさしい顔、ついばむようなキス
何もかもわからなくなるような深いキス、、、、
固く封じこめた記憶がひとつひとつ浮かんできて、
キシキシ、心が音をたてるように軋んだ。
俯いていたから、田辺さんが近くに来たのに気づかなかった。
『郁ちゃん!」
田辺さんのせっぱつまった声にびっくりして顔をあげる。
不安とうれしさと戸惑いと興奮とをない交ぜにしたような
複雑な顔をした田辺さんが近づいてくると、
そっと私の耳元で言った。
「佐倉って男の人から、電話が入ってる。」