公園であいましょう
「あなたの言うことなら、佐倉くんも聞くのでは
ないかと思って。」
横をむいたまま呟くようにそう言った彼女は、再び
私の方へ向くと、ずいっと体を乗り出し、
私を睨むように見た。
「はっきり申し上げるわ。あなたは佐倉くんにふさわしくない。
だから、ご自分から身を引いた方がいいわ。
それが、モデル井倉翔太を守ることになる。」
何も言えないでいる私をみると、相沢さんはふっと勝ち誇った
ような笑いをうかべ、乗り出していた体をおこした。
「ご自分の立場はわきまえていらっしゃるようね。」
きれいに口紅がぬられた唇がきゅっとあがり、
長い爪の指先で、紅茶のカップの縁をなぞる。
「モデルなんて仕事、実力がどうのこうのより結局は
コネが一番大切なんですもの。
私がバックにつけば、」
「、、、しないで。」
「えっ?」
「バカにしないで。」
自分の声とは思えないほど、低い声がでた。
「佐倉くんがモデルの井倉翔太として輝いているのは
実力以外のなにものでもないわ。
相沢さんの力必要なら、佐倉くんはちゃんと自分から
相沢さんに頼むはずよ。
佐倉くんが必要ないというなら、余計な事はしない方が
いいわ。」