公園であいましょう
打ち合わせでカフェラウンジにいた真島さんと
岩間さんは、相沢さんと私のやり取りを聞いて
私や佐倉くんがやられっぱなしの状態を打破して
永福屋サイドにギャフンといわせたくなったらしい。
もっとも怒り心頭なのは真島さんで、岩間さんはおもしろそう
なので乗ったという感じだったけど。
そこで二人は、打ち合わせ中の雑誌の企画を急遽、着物モノに
変更し、井倉翔太と以前岩間さんの写真集にでた謎のモデル
(つまり私)を起用した。
”着物のなんたるかを理解していない” ”着物をきこなせない”
とこき下ろされて、永福屋の着物ショーをおろされた井倉翔太は
その雑誌の中で、見事に着物を着こなしてみせ、
新たな魅力をお披露目した。
その反響はすさまじく、永福屋の着物ショーの話題など、
かすれてどこかに行ってしまった。
それだけじゃあない。
写真で、私と共演をはたした佐倉くんは、その雑誌に
今の自分の心情を綴った手記をのせたんだけど
その中で、私を、今一番大切な人だと紹介し、
彼女はモデルもやるけれども、一般人なので
そっと見守ってほしいとお願いした。
その手記は好意的に世の人たちに受け入れられて、
私達はこうして二人そろってパーティーにも参加できるように
なった。
といっても、私には慣れない世界であることにはかわりないのだけれど。
ぎこちない笑みをうかべる私に岩間さんがくすっと笑って
「疲れたなら、途中でぬけだしてかまわないよ。」
と言う。
心の中を見透かされたような言葉に、私が慌てていると
「岩間さんに言われなくても、そのつもりです。」
と佐倉くんが言って、私を引き寄せた。
だから、私の頬はまっ赤だ。