公園であいましょう
 スースーという寝息が聞こえそうなほど、穏やかな顔で眠る男性。
 
 顔は半分ほど、コートのえりにうまっていたけど、
 男の人にしては長いまつげとか、通った鼻筋で
 整った顔立ちをしているのがわかる。
 
 本当に、その寝顔は気持ちよさそうで。

 
  「ふふふ、、、。」
 
 

 と私は、小さな笑い声をもらした。

 それと同時に、ジャカジャカと軽快な音楽が聞こえてきて
 私は、びっくりして体をのばすと、あわてて一歩後ずさった。

 ベンチに座る人の腕が、モソっとうごいたかと思うと
 コートのポケットから、ジャカジャカうるさいスマホを取り出して
 耳にあてる。
 
 そしてその人は、寝ぼけてかすれた声をだした。

  
   
   「、、、、はい。」

 

 そのままかけてきた相手の話に聞き入っている。
 
 顔はふせたまま。こちらには気づかないまま。

 だから、私は、小さく一歩後ずさった。そして慎重にもう一歩。

 うまく三歩ほどさがったところで、私は、落ちていた空き缶をふんづけた。

  
    ”ペコッン”

 
 

 




















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