公園であいましょう
「ミキ なんでここに、、、。」
佐倉くんのとまどった声にかぶせるように
「だって、翔太、ちっとも逢ってくれないんだもん!」
ミキと呼ばれた女の子の声がひびく。
なんだか居たたまれなくなって、私も大きな声をあげた。
「私、帰ります! タオルありがと。」
「あ、ちょっと待って。」
佐倉くんが呼びとめるけど、私は、脇目もふらず玄関をめざした。
靴をはき、玄関に置いてある傘を一本手に取る。
「あの!傘をおかりします。」
「待てって。」
佐倉くんの声が近づいてくるが、
「いいじゃん、帰るっていってるんだから。」
というミキさんの声にかきせされた。
”バタン”
私は、勢いよく外にとびだすと、傘をつかんではしりだした。
心臓がバクバクする。
恥ずかしいような、悲しいような、切ないような、
訳のわからない気持ちがわき上がってくるけど、
その気持ちが心の中に広がってしまわないように、私はぎゅっと目をつぶった。