公園であいましょう

 私はその笑顔を見て、ただ、だまって頭をさげ、傘をさしだした。


   
   「これっ、ありがとう、助かりました。というわけで、さようなら。」


 
 それだけをハキハキと大きな声で言うと、
 くるっと回れ右をして、歩き出そうとした、、、なのに、進めない。

 
 佐倉くんの大きな手が、私の両腕をがっちりと摑んでいた。


   
   「ちょっと待って、委員長。まだ来たばかりでしょ。」

 
 
 そう言って、私の体の向きをかえるから、二人は向かい合う。
 
 でも、私は俯いたまま。彼の顔は見れない。



   
   「どうしたの? 委員長?」

  
 
 (さあ、言わなきゃ。”もう、逢いません” そう言わなきゃ)

   

   「あのね、もう、、、。」

   「逢わないなんて、言わないよね。そんなこと言う理由ないよね。」

   「あ、あるよ。理由ならある。」

   「ん?」

   「ほら、彼女さんに悪いでしょ。いくらたった15分だからって
    彼女さんに逢わずに、私なんかと逢ってるのはまずいでしょ。」
 
   「彼女って、この間のミキのこと?」

   「そうです。」

  
  
   (ほらね、だって”ミキ”って名前呼びだよ。
    私なんか、名前を一回も呼ばれてない。半年間、ずっと”委員長”だよ)


 
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