公園であいましょう
 それは、かすかな音だったのに、ベンチにすわったその人は
 つっと顔をあげて私を見た。
 
 びっくりしたように、大きく目が見開かれる。
 そして、じっとわたしの顔を凝視した。

 私も、後ろ足を一歩ひいたまぬけな格好のままかたまって
 ベンチに座る人の顔に見入っていた。

 二人のまわりの空気は、ちょっとした緊張を孕んでいるのに
 
  
  (ほら、やっぱりイケメンだった)


 と、私は、そんなどうでもいいことを思ったりしている。




   「うん、わかった。じゃ、、、。」

 

 
 ベンチにすわったまま、視線を私にむけたまま
 その人は通話を終えた。
 そしてスマホをポケットにしまうと

  

   「だれ?」



 とかすれた声のまま、私に問いかけた。

  
  
  「通りすがりのものです。」
 
  「何か用?」

  「いいえ、用はありません。」

  「......................。」

  「......................。」

  「じゃ、なんでここにいるの?」

 
 
 さて、なぜ私は、ここにいるんだろう? 私は、首をひねった。

 さっさっと帰っていて然るべきなのだ。それなのになぜ?

  
  「......................。」
 
  「フッ。」

 
 考えこんでしまった私に対して、その人は小さな笑みをもらした。

  
  
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