公園であいましょう
力なく、うなだれて化粧室のドアをあけたら
村瀬館長が立っていて、ジロリとこちらを見た。
「桂木くん、腹でもこわしとるのかね?」
「いいえ、だいじょうぶです!」
丸まっていた背中をのばし、笑みをうかべる。引きつってるだろうけど。
今は仕事中。しっかりせねば。
世の多くの女性達は恋もしながら、仕事も恋もこなしている。
私だって、それくらいできるはず。
確かに、ハードルは高いけど、、、、。
その日の帰り、私はめずらしく寄り道をして
ストアーの化粧品コーナーに立ち寄った。
今までお化粧をしてないわけじゃないけれど
適当に、近くのスーパーで食料品を買うついでに化粧品も買っていた。
(こんな私でも変われるかも、、)
そう思って、来てみたのだけど。
棚の端から、端まで、ずらりと化粧品が並んでいる。
いったい、どの化粧品がいいのだろう。
私は、途方にくれた。
結局、いつものよりは、ランクが上の化粧水と乳液を買って、店から出ようとすると、
「桂木さんじゃない?」
と声をかけられた。