公園であいましょう
 
 突然あらわれた、サングラスをかけた女の人が、私のうでを引っ張った。


   
   「時間ないのよ、急ぎましょう。」

   「えっ、私、ちょっ、、、。」

   「すぐそこに、車を停めてあるから。」



 なにか言うヒマもなく、女の人は私を引っ張っていく。


   
   「おい、ちょっと、待ってって、、、。」

 

 とカメラをさげた男の人が何か言っているけど、女の人はそれを無視して、
 公園の入り口に路駐してある車に、私を押し込んだ。


 後部座席にのりこむと、運転席にいた人が、車をすぐに発進させた。


  (えっ、これって、拉致? 誘拐?)


 ざぁーと音が聞こえるくらい、体から血の気が引いて行く気がする。



 車はしばらく走り、私の職場である公民館の駐車場にすべりこんだ。

 とりあえず、よく知った場所に連れてこられて、
 ほっと安心していると助手席に座っていた女の人が、
 サングラスをはずして、手を差し出した。


   
   「はじめまして、私、真島かおりといいます。」


 

 彼女は、おずおずと差し出した私の手をにぎると、
 軽くブンブンとふった。



   「時間がないと思うから、簡単に言わせてもらうけど、
    もう、あの公園には行かないでもらいたいの。」
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