公園であいましょう
(13)

 早いもので、暑かった夏は過ぎ、朝晩の空気がひんやりと
 し始めている。


 お気に入りの息抜きの場所を失った私は
 夏の日差しが弱まると共に、
 公民館の二階の小さなテラスに
 わずかな憩いの場所を求めて、通っていた。



 あれから、佐倉くんとは、一回も逢っていない。

 
 厳密にいうと、あれからしばらくは
 佐倉くんから、メールや電話やらの連絡があった。

 でも、私は、そのどちらも無視してでていない。

 そうして、そのうち、連絡はこなくなった。



 佐倉くんが、どういう気持ちで、私と逢っていたかは
 わからないが、
 
 私の中で、最後に残った感情は、ひどく苦いものだった。

 

 彼が、私をからかっていたとは思えないが
 
 
 学生だとうそをついていたことも、
 私ひとりだけが、バカみたいに舞い上がっていたことも
 
 私の中では、苦い固まりとなって残った。


 
 でも、それも、月日と共に薄れていくだろう、、、

 もう、逢うこともないのだから、、、



 夏の日差しの弱まりと共に、室内から移動させたいくつかの
 鉢植えに水をやり、
 くるくると回して、病気や虫のないことをたしかめ
 一階に降りて行くと、
 村瀬館長が、事務室のドアから顔をだした。


   「桂木くん、図書の方へ、貸し出し希望のお客さんが
    一人はいってる。」

   「はい。わかりました。」
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