公園であいましょう
(15)

   「なんだか最近、本のディスプレイが増えてない?」


 
 月一回の図書室の大掃除の日
 ハタキをかけていた田辺さんがつぶやく.


 ぎくりっとしながらも、私は、拭き掃除の手を休めることなく


   
   「そうですか?」


 
 と返事をした。




   「うん、特に写真集が。」

   「そーですかね。」

   「写真集なんて、あまり借り手がないから、
    本棚にある冊数もわずかだったのに、なんでか最近ふえてるし。
    誰かさんが、わざわざ地下の書庫から出してきてるんじゃ
ないかしら。」

   「さぁー?誰でしょう?」

   「誰ってさぁ、ここには私と郁ちゃんと村瀬館長の三人しかいないもの。」

   「.................。」

   「やっぱり、ほら、あれかしら。」




 田辺さんは、ハタキを魔法の杖のように二回ぐるりんと回すと言った。



   「最近、頻繁にやってくる図書館王子が
    写真集をよく借りてくから、、、、かしらねぇ。」



 じっと、私の横顔を凝視する田辺さんの視線を感じる。
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