公園であいましょう

   「僕が、渡しておいてもいいよ。」

   「え、そうですね。じゃあ、お願いできますか?」



 そう、ここまでは普通だった。


 私が、一歩前にでて写真集を渡そうとするのと
 男の人の手がのびてきて
 髪をまとめていたシュシュが取り除かれるのが一緒だった。



   「えっ、きゃ!」


 慌てて手で押さえたが、髪がパサリと背中に広がる。

 
 驚いて固まる私の目の前から、何歩か後ろにさがった男の人は
 パネルの前に立つ私を見て言った。



 「うん、いいね。君の名前を教えてもらおうか。」
< 56 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop