公園であいましょう
(18)
すっかり秋も深まったので、
二階のテラスにはもう植物は置いておけない。
だから、私は、鉢植え達を日当りの良い事務室の窓際へ
移すことにした。
持てるだけの鉢植えを抱えて、二階から降りてくると
事務室のドアをあけた村瀬館長が、
「桂木くん、図書の方へ、お客さん一人。」
と言って、ジロリと私を見た。
視線は、私の抱えている植木鉢へ。
「あ、寒くなってきたので、事務室の窓際、おかりします。」
私は、館長と目をあわせないように、そう早口で言い
館長をおしのけるように事務室に入ると、手早く鉢植えを並べた。
「お客さん待たせてるから、急がなきゃ。」
そう言って、逃げるように事務室を出、図書室の方に歩いて行くと
図書室の入り口の壁にもたれるように、男の人が立っている。
男の人は、私の姿に気づいたようで、
遠くへさまよわせていた視線をこちらに向けた。
するどい、鷹のような目が、私をじっと見つめる。
「あなたは、、、。」
「もう一度お会いできて光栄ですよ。
桂木 郁さん。」
そういって、鋭い目が細くなる。
フッと、その人は笑った。