公園であいましょう
「君がテストを受けて、君にモデルがきまれば
制作の方は再開だ。
もう、ずいぶんと日にちが過ぎてしまっている。
だから、返事は今ほしい。」
「君の仕事の迷惑にならないよう、スケジュールは
あわせるよ。カットの枚数も極力抑える。
初心者でもだいじょうぶだ。
僕にまかせてほしい。」
そういって、岩間さんは強い視線で私を見る。
すべてを委ねてしまってもだいじょうぶだと思わせる
力にあふれた眼差しだった。
「テスト、だけなら、、、。」
気がつくと私は、そう小さい声で言っていて、
自分でも、びっくりした。
「ありがとう、助かるよ。」
鋭かった目が細められ、岩間さんの口元にまた笑みが浮かぶ。
この人が、私のどこが気に入ったのかわからないけれど、
ほんとうにカメラを通してみれば、
私にモデルは無理だということがわかるはず、、、。
テストをうけると言ってしまった自分にいまさらながら
そう言聞かせる。
佐倉くんの力にはなりたいけれど、私にはとうてい無理な話だ。
「テストがダメだったら、あきらめてくれますね。」
私が確認するように言うと
「約束しよう。」
と、岩間さんはさらに笑みをふかめて、そう言った。