公園であいましょう
真島さんは、俺がもう委員長とは逢っていないと思っている。
でも、俺は、公民館に通っていた。
相変わらず、委員長は俺にそっけない。
公園での事がマスコミに嗅ぎ付けられそうになった後
真島さんから、委員長が、俺が学生だと嘘をついていた事に
ショックを受けていた、と聞かされた時
俺は、うろたえた。
騙すつもりじゃなかった。
ただ、俺を井倉翔太としてではなく、素の佐倉翔平として
接してくれる委員長のままでいてほしくて
本当の事がいえなかったんだ。
でも、委員長を不快にさせたことにはかわらなくて、
案の定、再び逢った時、委員長は俺に冷たかった。
そして、今でも、、、、。
真島さんが心配するように、俺が委員長に
特別な感情をもっているか、と聞かれたら、、、
それは本当のところよくわからない。
でも、委員長に逢って、俺は肩の力がホッと抜ける。
モデルという仕事でたえず誰かの視線にさらされる日々、
井倉翔太として過ごす時間がふえればふえるほど、
本当の自分が、佐倉翔平がだんだん無くなっていくようで、、。
いつからか、俺はちりちりとした不安を抱えるようになっていた。
それが、委員長に逢うことで
俺は言い様のない満足感を得ることができる
だから、委員長にそっけない態度をとられても
俺はかまわず、委員長に逢いに行く。
できれば、冷たくなった態度ももとに戻したいと思うけど
写真集のこともあったりして、全然時間が足りてない。
クリスマスに時間がとれたら、
そしたらもう一歩近づいてみよう。
そんな事を考えて、
時間つぶしに廊下の自販機の前まで行ったら
「ああ、翔太。いいところで逢った。」
そういいながら歩いて来る、営業の城山さんに逢った。