公園であいましょう
「岩間さんが来てるんだ。ちょっとつき合ってくれ。」
そう言って、城山さんにつれてこられた応接室。
岩間さんは、心持ち体をかしげながら
城山さんの話しを聞いている。
すべてを見透かすような鋭い目は、少し細められていて
長い指を組んだ手を、膝の上にのせている。
写真家として、男として成功している自信が、
ただ座っているだけでも、感じられるような気がした。
俺は、あまり人と競い合いたいと思わない方だけど
こういう男性を目の前にすると
心の底にある負けず嫌いな面が刺激されて
”いつか、俺だって” と思わずにはいられない。
今はただ与えられた仕事をこなすだけで精一杯だけど
目の前の仕事を積み重ねていくことで
俺にも、この人のように、手にすることが出来るモノ
があるだろうか、、、、。
となりでは、城山さんが、あの写真集の続編を
作りたいと、さっきからずっと話している。
「それで是非、次は今回実現しなかった、井倉翔太と
あの、女性モデルの二人一緒のカットを
入れていきたいんです。
どうでしょう?井倉も望んでることですし。」
そう、城山さんが言うと、
それまで、ずっと無言だった岩間さんが口をひらいた。