公園であいましょう
(22)
パシャ、パシャ、と切れ目無く、カメラのシャッター音が続いていく。
今日は、モデルがあたらしくなったダイバーウォッチの
CM用写真の撮影。
外では、雪まじりの雨が降っているが、スタジオの中は暖かく
俺は、半袖やタンクトップ姿に腕時計を何個もつけてポーズをとっていた
「翔太くん、どうした?笑顔がかたいよ。」
カメラマンが俺にそう声をかける。
「そうですか?」
「うん、寝不足?ちょっと目元が沈んでる。」
俺は苦笑した。
プロの目はごまかせない。
「だいじょうぶです。」
「うん、わかった。笑って横向いて。」
俺は言われる通りに、笑顔をつくった。
カメラマンを見るたびに、岩間さんを思い出し、そうすると
委員長の姿を思い出し、青いチェロキーや、スタジオの建物、、、
そして、委員長の嘘を思い出す、、、ということを
俺はここ何日か続けている。
その度に、なにか苦い固まりが喉につかえたような気分になって。
俺は、苦労して、それを何度か飲み下した。